FC2ブログ

本『嘘と正典』





新聞の書評欄で見て借りてみた。
2年前に『ゲームの王国』が話題になってて読んでみたいと思ってたんだけど、SFの長編って読み切れんような気がして怯んでしまった。
短編集なら、とチャレンジです。

魔術師
ひとすじの光
時の扉
ムジカ・ムンダーナ
最後の不良
嘘と正典

の6篇。


【魔術師】
マジシャンの人生をかけた[タイムマシン]は成功したのか?
娘も息子も同じくマジシャンとなり、
[タイムマシン]で姿を消した父の人生を読み解く。

【ひとすじの光】
競走馬の物語。
私はこの話が一番好きでした。

疎遠になっていた父親が亡くなって
遺されたものの中で判断を任されたものがあった。
父親は馬主で、馬主としての権利をどうするか決めて欲しいと。
その馬の系図を調べていくうちに
自分の親についても知ることとなり、
自分自身と馬を重ねて見つめることとなる。

競馬には全く興味はなかったんだけど、
日本ダービーで勝つための馬をどの馬との交配で誕生させるかという
奥が深く時間のかかる話で、
だったら父が所有している馬はどういう意味があるのかっていう
遡っていくと
父親から自分への思いも詰まっていてちょっと泣ける。


もっと読んでいたくなる、心地よい静かな感動。

【時の扉】
タイムパラドクスの話。
ある男の復讐について。

【ムジカ・ムンダーナ】
音楽が貨幣として使われる島と
作曲家とその息子の物語。

これもなかなかの面白さ。
作曲をする時の癖とか遺伝するのかなっていう。

【最後の不良】
流行をやめようっていうテーマで会員を増やした団体を
潰しに行こうとする男の話。

【嘘と正典】
CIAの工作員ホワイトが
体制に反発を覚えている科学者と接触し、
新たな発見[時空間通信]によって過去へとメッセージを送れることがわかった。
秘密裏にメッセージを送るためにあれこれと思いを巡らせる。
マルクスとエンゲルスの出会いによって〈共産主義〉は生まれた。
だから二人が出会わなければ良い。
ラストに向けてドキドキするけれど、そうかそうなるよね〜〜っていう結末。
でも面白い。


時間をテーマに書かれた6篇だが、
私は親子の間に受け継がれて流れる時間をも描いた
魔術師、ひとすじの光、ムジカ・ムンダーナが良かった。


若い作家さんらしいのだけど、
何か「完璧さ」みたいなものを感じるスキのない文章で
読みやすいけど、奥深さがあるし、
見落としちゃいけないって思ってしまう。

SFを読みたくなったら『ゲームの王国』チャレンジしよっかなぁ。

 







関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

No title

確かにミサさんがSFってあんまりイメージないかも~。
SFの長編は確かにノッていけなかったらつらいよね。短編がいい。あらたな扉を開いたねw

あけぼうさん

SFは映画も苦手なのと好きなものがあって、
もちろんスターウォーズシリーズは大好きだし、宇宙ものとか好きなの多いんですよ。
でも、タイムパラドクスがね〜入り組んでるとツラい。
例えば『インセプション』とか。

気になって、自分のブクログ本棚見てみたけど
やっぱりSFの成分全くなかったわ〜〜w