本『たゆたえども沈まず』

Kindleでセールをしてるんですが、たまたま運よく
読みたいって思ってた作品がびっくりするほど安くなってて
迷わずポチッとしました〜♪

本屋大賞でも候補作になってて人気だったんですよね。

アートを題材にした作品を多く書かれている原田マハさんは
林忠正という画商が、ゴッホと同時期にパリで日本美術を売りさばいていたことに着目し、
もしかしたら出会っていたかもしれないという仮説のもとに
ゴッホと弟のテオ、
林忠正とその後輩の重吉を軸に描き出したのだ。

重吉は架空の人物で
彼の目線でゴッホの弟テオと親しくなって、
ゴッホの苦悩とさらに彼を心配するテオの苦悩を知る。
そしてテオの目線からもゴッホの姿を描き出す。

重く、苦しい話なんだけど
テオの苦しみとかすかな希望、
ゴッホの孤独と激しい感情などが
静かな文章の中からも迫るようで
引き込まれました。

実際にゴッホとテオの手紙がたくさん残ってるんですよね。
興味を持って描いている作品についてとか
画像検索しながら読むと
すっごい伝わってきて
その世界に没頭してしまいます。
とりわけこの作品の表紙にも使われている『星月夜』は素敵ですもんね。

【たゆたえども沈まず】というのは
パリでは古くから親しまれている言葉だそうで
セーヌ川の船乗りが船の先につけているんだとか。
どんな困難なことが起ころうともたゆたいながら、
沈まず踏ん張っている、と。

あらゆる人へのエールだと思う。
ゴッホの生涯は決して幸せではなかったかもしれないし、
彼の評判も良くなかったけれど
作品を生み出す時の幸せな気分が伝わってくるし
テオという理解者がいて決して孤独ではなかった。

昨年公開されてた映画も見逃してたけど、
テレビで放映されないかなぁ。
観たくなってしまったよ。

じわ〜っと心に染みてくるような作品でした。


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